増田研に来たい人へ

このページのバージョン1は、私が東大に赴任した2006年頃に作りました。躍起になって、自分の熱い思いなどを書いてありました。ある年配の先生の HP に心を動かされて、真似しようとしたというのもありました。

今、博士課程へ進もう、研究者になろう、という日本人がそもそも少なくなったようです。そこで、メッセージや研究者魂的なことを減らして、このページを実務的に作り直しました。それでも来たい人を歓迎します。

博士課程で来たい場合

増田研は、ニューヨーク州立大学バッファロー校の北キャンパスにあります。
バッファローは、ナイアガラの滝から一番近い都市と言って過言ではないです。

私が志望者に求めることは以下です.

  • 学部での成績がそれなり以上に良いこと(そうでないと合格できない)。
  • 数学関係のそれなりの訓練.それなりとは、線形代数、大学の微積分、確率、統計、他の大学数学、統計物理、力学系、初歩的な情報理論、初歩的な信号処理、くらいの内の 2〜4 個以上を勉強したこと。これらは、理学部数学科的な授業でなければいけないわけではないです。 大学の公式見解ではないですが、私の考えとしては、日本の学部の1〜3年生レベルと思ってもらって、はずれていないと思います。 独学でも個人的には構わないのですが、入学願書としては、どの科目を学部(や修士)で履修して成績がどうであったか、ということをチェックされます。したがって、CDSE(下記)でなく数学科に来る場合は、独学だと、数学が大丈夫であることを証明できないので難しいです。
  • 情報、物理、工学、経済、生物、心理学・認知科学、数学近辺のどれかについて勉強、訓練(学部レベル)を積んでいる。
  • プログラミングが嫌いではない(少なくとも,勉強する意欲がある)。

新年度は、8月終わりに始まります。
願書の締切は、例年1月か2月です。

私が5年半勤めたイギリスもそうなのですが、アメリカも授業料が高いことが有名です。授業料や生活費を大学や私が出すことになります。以下の4つの方法が考えられます。

  1. 大学が雇うTA (teaching assistant) になる。学部の数学の授業(色々な学部の学生が履修する)を一定量受け持つことになります。TA は、現在のところ、数学科は年に10人程度の博士課程学生をTAでとっています。普通に私の学科に応募すれば、RA(research assistant; 下記)でない限り、この枠で応募することになるでしょう。入学すると、最初の年はひたすら数学関係の勉強です。最初の1年が終わるタイミングで指導教員を探す人が多いです(入学する前に決める人もいます)。残りの年は、授業を受け持ちつつ、研究に軸足を移していきます。私としては、私と事前に議論して、私の学科に応募して合格したなら、責任もって指導します。1年目からできる範囲で研究するのもより良いでしょう(ただし、第1学年が終わった時点で、鞍替えして他の指導教員につくことについては、私は邪魔しません)。

  2. CDSEという大学の博士課程プログラムがあります。データサイエンスと数理の融合のようなプログラムです。私はこのプログラムにも所属しているので、これに合格して私を志望して ok が出れば、増田研の学生になれます。ただ、数学科の TA とは基本的に関係がないので、お金について考える必要があります。 CDSEプログラムで、数学科以外のTAがオファーされて(オファーするのは私ではないです)、それで入る人もいるし、 RA になる人もいます。RAは、授業を受け持たなくてよいという時間上のメリットがあります(その代わり、履歴書的には授業の経験を得ることがなくなります)。

  3. 私がグラント(研究費)をとることに成功した場合、通常博士課程学生を1人程度雇えるので、RA の募集をかけます。研究テーマは私が研究費を申請した特定のテーマに固定されます。ネットワーク科学や数理生物学関係であることが多いでしょう。研究費がとれた場合、 LinkedInFacebookでアナウンスします。

  4. 日本の団体や企業が出す奨学金は、いくつかあります。競争率は高いようですが、実際に取れたという話も複数聞きます(私の学生ではないですが)。

3, 4 番目の方法については、私が答えられることはないです。1, 2 番目の方法で増田研に博士課程で来たい場合は、連絡下さい。

日本(など)で博士課程を行いながら来たい場合

一般論になりますが、以下の選択肢があると思います。
どの方法でも、指導教員の許可・寛容さは必須です。反対の場合もあると思うので、よく自分の指導教員と話し合うのがいいです。
もめる可能性が垣間見える場合は、受け入れられません。

  • 学振 DC を持っているなら、海外に一定期間まで出ることができることを用いて来る。
  • 他の方法で旅費・滞在費を得てバッファローに来る。短いと成功しにくくて(英語だけなら短くてもそれなりに身につくでしょうが、研究・仕事的には)、最低三ヶ月程度以上だと思って下さい。例えば、ブリストル大学(イギリス)では、東北大学から6ヶ月学生を受け入れました(論文もまだプレプリントですが出て、プレスリリースにもなりました)。その次の年には、フランスからインターンで学部生を3ヶ月受け入れたりもしました。

    最低三ヶ月程度と書きましたが、単なる訪問程度なら1日や数日でも歓迎です。ブリストル大学の時には、日本の博士課程の学生の訪問が何件かありました。

ポスドクで来たい場合

以下のような選択肢があると思います.

  • 海外学振で私を志望する(受け入れ実績1名)。
  • 学振PDで,海外に一定期間までは出ることができるので,その時期を用いて来る。

  • 私がポスドクを雇う研究費を持っている場合は、それに応募する。

増田研を希望する(かもしれない)方全般へ

私が大事だと思っていることは以下です。共感する個数が多ければ私とうまくいきやすいかもしれません。逆に、ドン引きするなら増田研には来ない方がいいでしょう。

  • 上下関係は好きでない。
  • 仕事をするかしないかが大事。結果主義。実行主義。

  • 自分が変わろう、成長しよう、という気持ちをもって、かつ実践してほしい。たいていの人は数理力がないから負けるのではなくて、自分の殻を打ち破る実行を行えないから負ける。

  • 国際性。

  • プレゼン。解析そのものと同じくらい大事。

  • コミュニケーション。解析以上に大事。人と話すのが苦手で、かつ本気で直す気がない人は来ない方がいいです。

  • けなして育てるのではなく、褒めて育てる。

  • 長時間労働をおしつけない。

  • 女性を増やしたい。3娘の父でもあるし。

  • 放任、自由ではなく、指導者が旗振って強い研究に導く。それを通じて独立していく。

  • マイクロ・マネジメントはしない。

  • 1年に2本論文を書いてほしい(大物狙いのときは1年に1本ペースかもしれない)し、書けるように導きたい。

  • 5年経って仕事ができない人は、10年経ってもできない。